平設計事務所 TAIRA Architects Office Ltd.

Special Issue 特集記事

「病院」から「健院」へ
これからの病院建築の考え方

建設
技術とコミュニケーションで設計者の意思を反映した円形建築

江東区は埋立地が多い地域だが、この事例の敷地はもとより陸地であった。しかし、支持基盤まで50m以上という軟らかい地層であるために、かつての建物の杭を撤去できず、古い杭と重ならない構造を検討した。
建物は周囲の景観との調和を図るため、円筒形と曲線で構成した。また、院内は病室を円弧に配置することで、より多くの病室に周囲の景観を取り込めるというプランである。
建設を担当した熊谷組は、これまでにも円形の建物をつくった実績はあった。だが、今回は敷地が傾斜地にあり、1階のレベルが半地下のように潜る構造となる。また、鉄骨造の乾式工法であるため、漏水への注意も必要であった。さらに、美しい円形を造るためには、床に墨出しをしてからでないと型枠が組めないなど、建設メンバーにとって、技術とチームワークが問われる難しい現場であったが、設計者のデザイン趣旨を深く理解され、イメージ通りの美しい円筒形を実現していただいた。
最近の病院づくりでは、インテリアの色使いもそうだが、リハビリと言う観点から、ウェイファインディング・デザインが要求される。技術屋としては、耐久性に重きを置きがちだが、今回は設計者の意図をよく理解していただき、意匠性と耐久性を両立させたリハビリ病院が完成した。