平設計事務所 TAIRA Architects Office Ltd.

Special Issue 特集記事

「病院」から「健院」へ
これからの病院建築の考え方

設備
病院としての機能性はもとより患者の回復を促すホスピタリティ

照明計画

照明計画のコンセプトは、患者への配慮や診療、検査、リハビリおよび入院に対する緊張感や不安感を和らげる、「安心感の演出」である。円形天井部分は、天井板を利用した間接照明にすることで、優しい雰囲気に。廊下の照明は、左右で色を変えたり部分的に区切ったりすることで、廊下に影を落とす演出をした。照明効果を高めるために照明器具を露出させる手法もあるが、今回は、器具を隠して光をデザインすることで、コストの低減も図りながら、雰囲気を高めることに注力した。

空調

快適な居住空間を創り出すために、空調、温・湿度管理は重要な設備である。病院の設備としては、感染症により汚染された空気を速やかに排出するという機能が第一に求められるが、リハビリテーション病院は患者の回復を促す施設なので、空気の排出経路に留意しながらも、家庭的な雰囲気の中で、気持ちよく生活できることを優先した。そのため、中間期には窓を開けられるように、開口部には可動窓を組み込んでいる。

給排水・衛生

設備は人間にとっての血管や臓器と同じく、建物を機能させるための役割を担う、重要なエレメントである。給排水設備を担当した斎久工業とは、水や電気空調など、どれか一つが欠けても建物が機能しないという意識を共有し、設計・施工を進めた。
トイレの配置に関しては、病院関係者の意見に沿って、最も使いやすい位置をモックアップなどで検証しながら決定。早期の離床を促すために、個室や4床室には、それぞれ入口付近にトイレと洗面を設けた。
トイレは、清掃面から考えれば壁掛け式が効率的だが、車イスや身体が不自由な状態の患者が使うことを考慮して、床置きの機種を選択した。リハビリ病院では、病院というよりもホテルに近い「ホスピタリティ」という考え方が重要である。コストとの兼ね合いもあるが、設備の形状や配置は、患者にとっての快適性が優先するものである。