平設計事務所 TAIRA Architects Office Ltd.

Special Issue 特集記事

「病院」から「健院」へ
これからの病院建築の考え方

緑化
四季折々の豊かな自然に安心とやすらぎを感じる

江東区では緑化に関する条例があり、緑を生かしたまちづくりを進めている。事例の敷地は建ぺい率80%。敷地の8割を占める建物をつくったとして、残り2割の中に13%の緑地を要求された。この条件の中で、どのように緑化計画を進めていったか。緑化計画を担当したスピナとパークコーポレーションは、優秀な技術者を擁する環境緑化のスペシャリスト集団である。

屋上緑化

大規模な屋上緑化を実現する要件は以下の3点である。
(1)大きな木を植えること
(2)植栽は、隣接する小名木川沿いに植えられている桜や山ぼうしと調和させること
(3)四季を通じて花が咲くような木を採用すること
当初、屋上に大きな木を植えるという計画に行政が難色を示したが、根を地下支柱でホールドし、そこに羽をつけて土を噛むことで固定されるという仕組みの導入により承諾を得て、屋上と2階テラスに大きい木を入れることができた。屋上緑化には、隣接する樹木が根を絡み合わせ、一枚の絨毯のようになるという、興味深い特性がある。こうして、全体で植生を保とうとする自生力が強まり、強風にも耐え得ることができるのだ。さらに、屋上の通路下にも根が伸びるスペースを作り、灌水は自動灌水システムを導入した。大規模な屋上緑化の実現により、患者は夏場でも木陰を歩くことができ、林の中にいるような心地よさでリハビリを進められる場所となった。

壁面緑化

壁面緑化は、デザインとそれを実現させる技術の両立が重要である。今回のシステムには多様な樹種をより自然に生育させるために、ココヤシピートを主原料とした「parkERs soil」を使用した。これは地球環境と植物の生育を意識した、パークコーポレーション独自の用土である。この用土とポリエステルの粒を混ぜて、スポンジ状に加工したものを壁面緑化のベースのフェルトとすることで、ポット方式とは違い、自然な状態で植物が増殖し、維持できる環境が実現するのだ。
植物を植える方法は、数ミリという薄いフェルトに根を張らせるのだが、この場合、うまく生育できる樹種が限定される。そこで今回は厚さ50mmのシステムを採用。より自然の土壌に近い厚さがあるため、様々な樹種を使ったデザインに適している。また、数ヵ月前からあらかじめ圃場に植物を植え、大きく生長させた上で現場に設置できるため、完成時から生き生きとしたボリュームのある壁面緑化を体感できる。自然に近い環境を作り出せる技術だからこそ、完成直後から豊かな四季の花を楽しめ、自然な広がりや変化を演出できる、理想の壁面緑化が実現した。